ワルナスビ

ミニトマトのように房のように実が成る。もっと近づいてみると縦縞があって、スイカのようだ。名前はワルナスビ、僕はどうしてもこの植物が気になって仕方が無い。夏には花が咲いているのを見つけて、この季節には実が成っているのを見て、そして更に涼しくなると枯れ枝で実が黄色くなっているのを見つけ、ホッとするというか、感心する。

ワルナスビ(悪茄子)、凄い名前だ。もちろん人間がつけた名前だから、人間にとって悪い奴というわけだ。まずは写真を良く見ていただくと、左の方、茎や葉の裏に鋭いトゲがある。刺さると痛い。花は茄子の花を白くしたようなもので、人によっては綺麗と見るかもしれないが、僕にとってはそうでもない。ジャガイモの花みたいだ。しかも草全体が毒を持っているのだという。トゲだけに飽き足らず、毒すらも持って、、、、つまり、この実は食べられないということ。それだけではない。とても生命力が強いらしい。草刈をしてもすぐに生えてくるという。種で増える他に、地下茎が芽を出すというのだ。そしてこの地下茎を農機で切り刻んだとしてもまだそこから芽を出すというのだ。そして、こいつが生えてしまうと、畑の地力が落ちてしまうということだ。牧草地に生えてしまえば家畜にとって害になり、時に死に至るという。そんなわけで、人間にとって「悪」が5つも6つもある。

そう簡単に泣き寝入りはしないし、死んだ振りして前以上に復活して来る。なんというしぶとさだろう。なんという逞しさだろう。弱い僕からすれば、尊敬の気持ちすら覚えるほどだ。
でも、人間に例えて想像してみると、なんともそら恐ろしい人だ。裏側にトゲを生やし常に研いでいる、見かけは気にせずにおり、頼りない外観の割にはこっそり毒を持っている。地下のネットワークもあって、失脚しても地下組織が暗躍して一層強くなって復活してくる。その灰汁の強さによって周囲の人は成長を阻害され萎縮、取り込もうとした大物すらも毒やトゲを持ってして時には死に至らしめる。

あなたのそばにいますか? ワルナスビのような人。