サクラ

さすがお医者さんの薬は良く効く。10日頃から体調が悪く夜になると微熱が出ていたが、昨日処方された薬が良く効いてだいぶん楽になった。
そんなこともあって昨日は舌足らずな文章の日記になってしまったけれど、カタバミの生命力はすごい。日の当たる場所に生え、上に伸びるよりも面として広がる植物だから、人によく踏みつけにされる運命にある。ハート型の葉っぱは子どもには喜ばれるが、畑に生えれば悪者扱いされる。憎いけれどもその強さは羨ましい、古の人々はそのように思ったのだろうか、家紋の図案にカタバミはよく使われている。普段は踏みつけ悪者扱いするが、一方でその強さに憧れ、子孫繁栄の願いをこめたのだろう。

さて、本題。カタバミとは打って変わって、季節の主役となり尊ばれる花の代表といえば、真っ先に桜が浮かぶ。いつ咲いたかも判らず、興味を寄せられることも無いカタバミの花に比べ、桜は何ヶ月も前から今年は何時咲くのかと人々の話題に上る。天気予報では気象予報士たちが開花予想を繰り返し、新入学の子どもを持つ親たちは入学式当日の満開を願う。
しかし、咲いたとたんに散ることが期待されてしまうのも桜の花。天気予報では、雨で散るか風で散るかと新たな予報を言い始める。花の勢いが盛大で花の時期が短いほど尊ばれ来年の花を期待される。ピークに到達したとたんに勢いよく下らなければならない。それが期待されている。いつまでも咲いている桜の花などあれば下衆なものとされかねない。桜はこれほど注目され話題になる花なのに、家紋の図案はカタバミにくらべてずっと少ない。
ずいぶん前のことになるが、あるところで「太く短い人生と、細くて長い人生、あなたはどっちを選ぶ?」という質問があった。その後シンキングタイム中にナレーションが「もちろん、太くて長い人生がいちばんイイわけですが、どちらか一つと言われたらどっちでしょう」付け加えた。あれ?と思った。太くて長い人生がいちばんイイのだろうか。僕は選択肢にそれが加わったとしても、細くて長い人生の方を取りたい気がする。
今日、職場では風が吹くとたくさんの桜の花びらが散った。誰も見ていないような場所の桜もそうであった。僕は見ておいた。