霧の森

しとしとと降る雨は、そろそろ梅雨が近いことを感じさせてくれる。せっかくの休みを家でビデオばかり見ていても退屈だから、森を見に出かけた。林道をわずかに登ったところで霧の中になった。盆地の底にいると分からなかったが、どうやらかなり低く垂れ込めた雲だったようだ。連休の頃に出かけたときにはヤマザクラの花が咲いていたが、そのあたりもすっかり黄緑色になった。
車を停めてしばらく歩いた。傘を差しながらの散歩であったが、霧雨なので雨の音はあまり聞こえない。代わりに鳥のさえずりはいろいろと聞こえる。でも見上げても声の主を見つけることが出来ない。しばらく見上げて探していると、霧雨で顔が濡れてくる。
森の中を見ると、遠くなるほどに霧の白が木々の色を薄めている。ツル植物がたくさん下がった木があったりすると、急にそれを掻き分けてティラノサウルスが現れそうな気がする。白亜紀の映像というと、霧が立ち込めている印象がある。映画やテレビの影響が強いのだろう。そして、きっと鳥のさえずりの様子が変化したらティラノサウルスが現れる前触れだ、などと考えてみたりする。これも映画の影響だろう。
とりあえず、山にいる間には恐竜にも熊にも合わずにすんだ。イタチのような生き物が横切るのは見た。