頭隠して尻隠さず

ドジョウが水槽の底の砂利の中へ頭だけ突っ込んでじっとしていた。ちょっとユーモラスな、言い方を替えるとまぬけな、そんな姿だった。
でも、ドジョウの方から言わせれば、本当は軟らかい泥の中にもぐりたいのに、砂利しかないところに入れられてしまったから仕方ない、となるだろうか。走らせれば誰よりも速くて運動神経抜群の人が、泳げないのにプールで無理矢理泳がさせられて無様な格好を晒しているような、そんな姿なのかもしれない。笑ってしまいそうな景色でも笑うにはあまりに不謹慎な場合がある。同様に、自分が誰かから笑われてしまい、本当はこんなんじゃないんだぞ!、と心の中で叫びながら不機嫌になってしまうこともある。心の中じゃなく本当に声に出してしまう場合もある。でもそうやってしまうと、それ自体が無様な言い訳だったりするので、後で一層恥ずかしくて悔しい思いをすることになる。
今度からこの姿のドジョウを見たら、気の毒に思うようにするつもり。