母校の景色 6

生き残った物
上の写真では、紙の箱の中にガラクタがいっぱい入っているように見えるが、その通り。これは、研磨に失敗したプレパラートとスライスに失敗したとか研磨に失敗した岩石薄片などだ。下の写真は、何という名前だか忘れたが、磨いた岩石薄片をスライドガラスに貼り付ける台だ。
昨日まで紹介した工程で片面を磨いた岩石薄片とスライドガラスを下の写真の台に乗せる。台の鉄板はアルコールランプで炙られて熱くなっている。十分熱くなったところでレーキサイトセメントを塗りつける。レーキサイトセメントはスティック状の形をしており、硯で墨をするような感じだ。ただし、墨よりずっと早く融ける。セメントから泡が出る。そして貼り付ける。間に泡が残らないようにしなければならないので、スライドガラスを上にして、間に残った泡を追い出すようにピンセットなどで押さえつける。熱いから素手では出来ない。
スライドガラスを貼り付けた岩石薄片を再びろくろで磨く。今度はスライドガラスを持って行うが、研磨面がスライドガラスと平行でなければならず、斜めにならないよう最新のに注意が必要だ。かなり薄くなったところで作業は鉄板へ移る。とにかく斜めになるのは禁物で、うっかり気がつかずに磨いていると、スライドガラスの一部が削られて曇りガラスになってしまうことがある。
ガラス板での研磨作業に移った頃には、岩石薄片はとてつもなく薄くなり、透明感が出てくる。こうなると、岩石観察用の偏光顕微鏡を出してきて何度も見ながら研磨する。そして最後にカナダバルサムでカバーガラスを貼り付けて完成となる。本当の完成は、採集地や採集日を記したラベルを貼って出来上がり。
上の写真には、研磨中にスライドガラスが曇りガラスになってしまった失敗作が入っていた。僕らの失敗作なのかどうかは判らないが、かなり古いものに見える。なんと、道具だけでなく、失敗作までもが今まで残っていたわけだ。なつかしい。