ボーディングブリッジ

羽田空港のボーディングブリッジは川崎重工製だった。行くときはブリッジだったが、帰ってきたときにはタラップで降ろされ、エアポートリムジンで到着ロビーまで運ばれた。
飛行機が着陸すると、乗客は我先に荷物を持って通路に行列になる。それも前の人の背中と胸がくっつくかと思うほど間を詰めての窮屈な列だ。座っている人に入られないように隙を埋めているわけだ。ブリッジの場合には、この列に並んだ順番が反映される。つまり、早く飛行機を出た人が、より早く到着ロビーに行くことができる。しかし、タラップになってしまうと案外そうもいかない。昔の小さな空港では、タラップを降りたところから歩いて到着ロビーへ行くこともあったが、羽田空港では確実にバスに乗ることになる。最初にタラップを降りた人からバスに乗り込み、先に乗った人は座ることが出来る。そしてその後ろの人は容赦なく立たされる運命となる。荷物を預けていない人にとっては、立たされてでも早く乗り込みたいと思うだろうが、次のバスで良いから座りたいと思う人も居るだろう。でも、誘導する係りの人によって早いバスから順に詰め込まれるので、そんな選択も許されない雰囲気がある。そして、到着ロビーの停留所。後ろから乗って立っていた人から順にバスを降りるので、機内で並んでいた順序通りには到着ロビーに着くことができない。
今回の僕は2台目なのか3台目なのかわからないが、先のバスが出発してからほどなく、次のバスに乗ってゆったり座ることが出来た。そして到着ロビーでは、まるでピッタリのタイミングで荷物が出てきて、実に順調に外へ出ることが出来た。こういうときは、戦っているわけでもないのに、何故か「勝った」ような気分になる。
行くときの話を書くのを忘れていた。僕らが乗る飛行機は、機体の到着遅れということで、しばらく待たされることになった。そしてようやく乗れることになり、ボーディングブリッジのゆるやかな下り坂にさしかかったとき、次女が「こっから飛行機だよ!」と得意気に言い、「飛行機、暑いねぇ」と続けた。どうやら既に機体内に入ったと思ったようだ。ブリッジ内は冷房が効いていないから、猛暑日のこの日はとても暑くなっていた。それにしても、毎年乗っているくせに何言ってるんだ、と思って「まだ飛行機に乗ってないよ」とバカにしてやった。次女が少しへこんだので「勝った」と思った。大人気無い。