コゲラ

前日から着手し朝からずっと昼食もそこそこに取り組んでいた書類作りに疲れ、休憩がてらにカメラを持って外に出たのはそろそろ太陽が西に傾き日差しが黄色くなっていた頃だった。
ちょうどすれ違った自然の家の職員は、引っかかった枝を取るんだと道具を取りに行ったところだった。残っていた職員が「ほら、あそこ」と言って指差したところにコゲラがいた。僕には最初はよくわからなかったが、指差す腕の後ろ側に回り込んでその方向を見上げると、高い枝に鳥が止まっているのが見えた。こんなところからよく見分けられるものだと感心した。やがて鳥は飛んで枝を移り、さっきよりも近いところにやってきた。カメラのズームをいっぱいに伸ばし、更にデジタルズームも使って何枚か撮影してみた。白黒の縞々の模様をした羽をしていて嘴で枝を突いている。なるほどキツツキ独特の姿だ。カメラから目を離して肉眼で見ると、僕の目には縞々ではなくグレーに見えてしまう。慣れた人は大したものだと思った。やがてコゲラはどこかへ飛んで行ってしまった。
やがて長い竿を見つけてきた職員が戻り、近くの木の上を突き上げる動作を繰り返した。上の方で腐って折れた枝が落ちて下の枝に引っかかっているのを取ろうとしている。その下にはベンチがあるから確かに危ない。何度か突いてようやく落ちてきた枝には何かの菌類がびっしりと付いていた。