コダックの紙

コダックが潰れちゃったみたいだね。
このニュースを知ってなんとなく家にある荷物を調べてみたら、レンズクリーニングペーパーが出てきた。ケースはご覧の通りのコダックの黄色で、赤い四角の中には今とは違うロゴで「Kodak」と書かれている。このケースにはどこにも日本語が書かれておらず、Made in USA と書かれている。
僕は写真が好きなのでコダックの思い出はいっぱいある。天体写真に興味を持った頃、カラーのポジフィルムで一番感度が高かったのはコダックの「ハイスピードエクタクローム」だった。ASA感度は160だったと思う。ASAとは今のISOのことだが、フィルムの感度を示す規格。当時はこれでハイスピードを謳ったが今は160では低感度フィルムの部類だろうか。いや、フィルム自体があまり無いからそれすら昔のことだ。
デジカメでは内部でISO感度の調整が出来てしまう。それが出来ないフィルム時代はどういう写真にはどのフィルムが合うかどうかを考えてフィルムを買う必要があった。高感度が欲しい天体写真ではコダックのモノクロフィルム「TRY-X」をよく使った。富士の「SSS」よりももっと高感度のASA400だったから露出時間が短くて済んだ。
僕が天体写真を始めた頃にはモータードライブを持っていなかったので、望遠鏡のアイピースに張った十字線に星を合わせて、地球の自転の早さに合わせてゆっくりとつまみを回し続けなければならなかった。だから早く写ってくれる高感度フィルムはありがたかった。それはよかったけど現像するときにフィルムケースを開けるのに、TRY-Xのケースはきつくてペンチを使わなければならなかった。その点は富士のフィルムは簡単に開いたので楽だったおぼえがある。
さて話をカラーに戻すと、僕はハイスピードエクタクロームは結局使ったことはなくて、その後継として発売になったエクタクローム200を使った。バックの色が濃い青になるのできれいで好きだった。この頃のフジクロームはASA100だしあまり人気がなくて、サクラクロームは使っている人もいなかった。でも、やがて「サクラカラーSR400」が星の写真には良くてみんなが使い出したから僕も使った。ネガは紙焼きまでしたとするとポジよりずっと安くてよかった。
僕が大学生の頃、コダックがディスクカメラというのを売り出した。なんかよくわからないでいたら、たまたま先輩が持っていたのを見せてもらえた。当時既に下火となっていた110フィルムを使うポケットカメラよりも薄型の小さいカメラだった。そこにカセットに入ったフィルムを装てんする。フィルムは円盤で真ん中に回転軸があって円盤のふちに順に画像が焼き付けられるというものだった。でも画像が7mm角ぐらいしか無いもので110よりも小さかったから、ダメだこりゃ、と思ったものだ。僕の予感は見事に当たりやがてディスクカメラは市場から消えた。というよりだれでも予想が出来たと思うほど魅力に欠けたものだった。
そんな僕もやがて社会人になると、映画の世界でのコダックは圧倒的に強い巨人だということを知ることになった。