逆光の白菜畑

本格的な農家の畑ではなく、住宅地の中にある家庭菜園的な小さな畑に植えられていた白菜。肥料が足りなかったのか、あまり大きくない。採り終えたのもある。そこへ鳥がやって来た。地面をちょんちょんと突付きながら忙しなく飛び歩き、やがて飛んで行ってしまった。
今年の冬は白菜やキャベツの値段が高いようで、テレビのニュースなどで時々伝えられている。そんなわけでか我が家はモヤシの比率が高くなった。先日妻といっしょにスーパーマーケットに行ったら、白菜は半分や1/4に切られてパッケージされいかにも高そうな雰囲気で並んでいたが、モヤシはなんと一袋17円だった。
17円なんていう値段は近頃モヤシ以外で見たことが無い気がする。驚くほど安い。10袋でも170円、100袋でも1,700円、1,000袋でも17,000円。当たり前の計算だが、桁を上げるほどに更に驚きが増してくる。仮に一日三食をそれぞれモヤシ1袋にしたとして1年間食べてもたったの18,615円だ。昆虫の世界では1種類の食草しか食べないものをスペシャリストと言うそうだが、僕がもしもモヤシ食だけで元気に生きていけるモヤシスペシャリストになったとすれば、破格の安値で生きていくことが出来るわけだ。一方、白菜スペシャリストであった場合には今年の冬はひもじい思いをしなければならなかった。しかも夏は白菜が無いので冬眠(?)せねばなるまい。モヤシはそれに比べ、一年中有って価格も安定している。
17円のもやしを買った晩、我が家の献立は鍋であった。モヤシスペシャリストの妄想をした割に、鍋の中のたくさんのモヤシに混じって白菜や葱が入っていたことに幸せを感じた。結局、コストのかかる雑食者であった。