森の神?

森の中を歩いていたら大きな枯れ木があった。皮はすっかり剥がれ落ちてつやつやした木肌が見え、それが複雑な凹凸になって皺がよっている。まるで腰をひねったように見えなくも無い。僕には、こちらに背を向け、その背をちょっと丸めて向こうを見ているような、鼻先の長い生き物のようにに見えた。
しばらく歩いて同じ道を戻ってくると、再びその木が見えてきた。今度はこちらの方を見ている。ちょっとカンガルーのようにも見える。夕方なんかに見たら怖いだろうと思った。すごいな、と思いつつ見上げながら通り過ぎた。もしかして、と思って振り返ってみたが、別に動いてはいなかった。枯れてしまっているというのに、むしろ他の木よりも命を感じる。きっとその独特の形のせいだろう。
これから日を追うごとに他の木々の葉が茂り、この奇怪な枯れ木は緑に埋もれるのだろう。