露頭

富士山の北側に位置する御坂山地は、甲府盆地から見ると富士山を遮るプラインドのようだ。僕の家からは富士山のてっぺん付近が、御坂山地の上にほんの僅かに見えるに過ぎない。もっと南に行くと、より近づいたはずの富士山の姿を見ることができない。遠ざかって甲府城址付近や愛宕山まで行くと、御坂山地を越える高さにそびえる富士山が見える。富士山の手前にある御坂山地は、富士山に従えられ主人を守る家来のようにも思える。
この御坂山地は、伊豆半島を載せたフィリピン海プレートが日本列島の下に潜り込む際、伊豆半島が列島の地殻をぐいぐい押して歪ませたために形作られたと説明される。歪められた皺々の谷間には、芦川が流れている。写真は芦川沿いにあった露頭。地層が斜めに傾いている。傾いた地層の写真を見ただけで地球のダイナミズムを想像するのは、少々大げさが過ぎそうだが、そんな事を想像してそこにいると大きな気持ちになれる。