サーッと飛んできて、枝に止まってキョロキョロし、再びサーッと飛び去ってしまった。
ヒヨドリは、日本列島各地では普通に見られるのに、外国では珍しい鳥だということだ。
源平の「一の谷の合戦」には「ひよどり越え」というのが出てくる。大河ドラマでこの時代近辺のことを扱えば、間違いなく必須事項であり、源義経の大活躍の場面だ。
日本では歴史上の需要な逸話にまで名前が出るのにも関わらず外国では珍しいと聞けば、なんだか妙に愛おしく思えてきてしまう。そんなことで思い出したことがある。
子供の頃のことだが、酒蓋を集めるのが流行っていた。一升瓶に付いているあの蓋だ。僕が子供の頃の酒蓋は今のものとはちょっと違っていた。今のものは樹脂で一体加工された形に金属が被せられているが、昔のものは木の円盤に金属が被され、そこにコルクが貼り付けられていた。僕らはコルクを取り外して円盤だけを集めていた。それでたまにおはじき遊びのようなことをしたこともあった。僕らの地区の傍には「会津ほまれ」を中心に扱っている酒屋さんがあったので、その酒蓋はたくさん持っており友達の間でも珍しいものではなかった。だから、珍しい銘柄の酒蓋は別置きになり、おはじき遊びの駒は幾つも持っているほまれの蓋だった。ところが、小学校の高学年になりずっと遠くの地区の友達にとっては「会津ほまれ」の酒蓋が大変希少なものだと知ることになった。僕も近所の友達も、ほまれの蓋一つで幾つもの珍しい酒蓋とトレードすることが出来た。僕はいつしかほまれの蓋が愛しくなっていた。それまで適当に扱っていたほまれの蓋の中から、程度の良いものを選り出してコレクション用とトレード用と遊び用に分類した。。
あれから40年、たくさん持っていたはずの酒蓋は、ずっと昔にどこかへ行ってしまった。近頃は日本酒を買ったとしても酒蓋のある一升瓶ではなく、安い紙パックになった。