風船

10日ほど前、駅前で時間をつぶす必要があり、久しぶりに甲府城に行ってみた。その日は日中の気温が上がった日で、ちょっと登ると汗が出てきた。久しく来ていなかったが、城跡はずいぶんいろいろ整備が進んでいた。せっかく来たので天主台まで登ろうと思って歩いていると、線路をはさんで向こう側にあるマンションの方向にたくさんの風船が飛んでいるのが見えた。そう言えば駅前の方向からお祭りの派手な音楽が聞こえていた。きっとそのお祭りで放たれた風船だろう。
しばらく眺めていたのだが、風船によって空へ昇っていく速さに違いがあるのが分かった。空気の入り具合の違い、風船素材の不揃い、微妙な風の具合、風船同士のぶつかり具合、他にも原因があるのだろう。でも何かそれらの風船が人間のようにも感じてしまった。一斉に放たれたであろう風船たちは、それが背の高いマンションの上に到達する頃には上と下で大きな差が開いてしまった。同じように進んでいるつもりでも、何かのちょっとした違いの積み重ねが、意外に大きな差になってしまう。