紫色のサルビアとセイヨウオオマルハナバチ

サルビアと言えば真っ赤な花と思い込んでいたが、こんな紫色を下花を咲かせるサルビアもあった。妻の実家、音更の家の庭に咲いていた。
とかち帯広空港と、そこから帯広へ続く道の脇には、赤い花のサルビアの植え込みがずっと続いている。でも、数日前に霜が降りたということで、花は皆茶色く枯れてしまっていた。前回、8月末に来たときには花がいっぱい咲いていて、緑の中で目立っていた。ずいぶん花の季節が長いものだ。
紫色のサルビアには、マルハナバチがよく来ている。お尻が白いのが特長だ。こんなの初めて見たなあ、と思っていたが、帰ってきてから調べてみると「セイヨウオオマルハナバチ」という外来種だとわかった。なんと特定外来生物だ。本当は捕まえなきゃいけなかったわけだ。

セイヨウオオマルハナバチは、1990年代前半にオランダなどから移入された種で、温室トマトの受粉をさせるための目的だった。でも、現在は温室から逃げ出して、北海道を中心に分布を広げている。そして、在来のマルハナバチ類に様々な悪影響をあたえているらしい。
セイヨウオオマルハナバチたちが日本にいるのは、日本人が日本に連れて来たからだ。おかげで温室トマトは薬を使って結実させるのではなく、自然受粉によって結実するという健全な実りを得られるようになった。でも今度は日本の在来種を駆逐するということで邪魔者とされるようになってしまった。気の毒なことだ。セイヨウオオマルハナバチたちには何の落ち度も無い。
忌み嫌われる外来生物にはそんな身の上のものが少なくない。悪名高いブラックバスも、アメリカザリガニも、日本人が利用を目的に連れてきたものだ。
人間社会でもそんなことがあると思うが、みなさんは身の回りにそんな気の毒な身の上の人はいないだろうか。子どもの世界には少ないが、大人の世界には多いと思う。利用され持ち上げられ働かされ、やがて邪魔者扱いされる人。