強風に吹かれる木

画面の左から右に向かって強烈な風が吹いている。葛飾北斎の浮世絵や白土三平の劇画の中に出てくる景色のようだ。場所は関東平野の北部にある、渡良瀬遊水池だ。栃木・群馬・茨城の県境に位置するここは、冬に北の山から吹き降ろす空っ風が名物だ。写真を撮ったのは6年前の2月だ。日の光が降り注ぐ快晴の日だったが、風はとても強くて寒かった思い出が残っている。これらの木は、たまたまここに生えてしまったがために冬場はこの強い風をいつも受けなければならない。とすれば人は動ける分だけ楽だ。このときも寒さと風に飽きると、資料館の建物に入って温まったり、車の中に戻って帰路を走った。