ジョウビタキ

冬になると雑木林は葉が散って明るく見通しが良くなる。そうすると枝に止まっている鳥も見やすくなる。ジョウビタキは冬鳥だということだから、日本で知っている景色はもっぱらそういう景色なのだろう。
我々の生活の中でもそういうことがあるだろう。例えば、日曜日にしか行かない場所、夜にしか行かない場所など、割と良く行く場所で良く知っているつもりでもそうでない日や時間帯についてはまるで知らない。人でもそうだ。余所行きの場所でしか知らない人は、概ね余所行きの良い人になっているから、良い人に映る。でも案外身近なところでは裏腹に暴君的な人だったりすることもある。
渡り鳥にも風変わりなやつがいるようで、夏にはシベリアなどで繁殖するはずのジョウビタキが日本国内に留まって繁殖をした例がたまに報告されているようだ。そういうジョウビタキはいつもの年よりも暑い思いをしながら、なじみの冬とは違った日本の林の景色を見ていることだろう。僕も何かとそういう見方をしてみたいものだ。