ザクロ

子供の頃の僕の家にはザクロの木が一本あった。その頃はこんなザクロの花なんかにはまるで興味が無かった。興味が出てくるのは気候がだいぶん寒くなってからのこと。ザクロの実が熟した頃だ。三方や四方に割れた野球のボールほどの大きさの実の中からは、ガーネットのような輝きの実が覗いている。そしておじいちゃんにねだってその実を摘んでもらうのだ。酸っぱい味の中に甘みもあり、お菓子とは種類が違う味が、子供にとってはとても新鮮だった。