勝手丼

釧路市の名所になっている和商市場には、そこの名物となっている勝手丼というものがある。テレビの紀行番組などで扱われることが多いので、知っている人は多いと思う。僕が仕事で釧路に通っていた20年前にはそういうものは無かった。今回、久しぶりに行った釧路でそれを体験したので記載しておく。
前の日から来ている人が言うには、なんだかんだで2000円を超えてしまったなんてことだった。それにうなずいている人も何人もいたので、そのぐらいの金額になってしまうのが普通なのだろうと思った。昼食としてはかなり高額の部類になるが、まあ話のタネにということで行ってみた。まずは入口の定食屋さんでご飯だけを買う。150円だったと思う。そして市場内を回るのだが、勝手丼ののぼりを立てたり暖簾を下げたりしている店には、普通の売り物以外にたくさんの魚の切り身が並べられている。それが1枚100円ぐらいから300円ぐらいまである。なるほどこれで6〜5枚選べばすぐに1000円を超えてしまうなと納得した。僕はとりあえずそれらの店を通り過ぎ、市場をぐるりと回ってみた。中には勝手丼とは無縁の乾物屋さんなども並んでいる。うちはイクラなら載せられるよ、と専門店の若い人から声をかけられた。そこも通り過ぎてさらに奥へ行くと、勝手丼の表示のない店に安いマグロの中落ちがあるのを見つけた。僕は、これを50グラムだけもらえますか、と聞いてみた。するとお店のおばちゃんが、「いいですけどこのトレーだよ」と写真の右にある白いトレーを出されて意味不明のことを言われた。「え、この上でいいですよ」と丼を差し出すと、「ウチは丼には載せられないんだよ」、と言われた。なんとなく意味が分かった。トレーに乗せられた中落ちは200円でたっぷりあった。その後、さっきのイクラ屋さんで300円分のイクラを載せてもらい、勝手丼やさんで100円の刺身を3枚載せて、合わせて1000円以内に収まった。ご飯を買った店の前にイスとテーブルが出されていてそこに座ったが、ご飯を買った人にはカニの味噌汁が120円というのに釣られて味噌汁を買ったので1000円を超えた。勝手丼は市場の中の特定のいくつかのお店が組んでやっているのだろう。だから、中落ちの店は丼に乗せられなかったのだろう。そんなことを話しながら食べた。