甲府駅の北東側にある愛宕山。山の上の方には科学館やこどもの国がある。斜面に沿って設置されているこどもの国の遊具は、山頂の広場まで続いている。その広場の一番奥まったところに池があり「赤い金魚」がたくさん泳いでいる。
見た感じでは「和金」という種類だろうか。特に珍しさも無い、ごく普通の金魚だ。金魚屋さんでの和金は、観賞魚としてでなく肉食の大型観賞魚のための「餌」として売られていたりもする。ヒメダカと並んでどうも気の毒な印象のある種類の金魚だ。
愛宕山の金魚たちはその点についての心配は無さそうだ。この池には何十万円もするアマゾンの肉食魚や、近ごろは悪名ばかりが有名となったブラックバスなどの肉食魚はいない。恐らくは金魚たちがこの池の生態系で一番上位を占めている。
池の底にはたっぷりと落ち葉が積もっている。これらは金魚たちが卵を産みつけるのに良い場所になり、稚魚の隠れ家にもなろう。そして金魚たちの餌となるプランクトンの栄養にもなるだろう。
水面には、葉をすっかり池に落として丸裸になった木の枝が映っている。誰に鑑賞されることもなく、まるで野生化したような金魚たちは、小枝が映った水面と水底に積もった落ち葉の間を悠々と泳いでいる。