電気自動車

今日、こんな車をちょっとだけ運転する機会に恵まれた。三菱自動車のMiEVという車種だ。ボディは軽のワンボックス商用車miniCABで、これにバッテリーと電気で回るモーターを組み込んだものだ。
僕の電気自動車体験というと、もう7〜8年前になるが、FRPボディで一人乗りという小さなものに乗ったのが最初だ。それは一般のガソリン自動車に使われるバッテリーを複数積んだもので、スピードは自転車並みのものだった。でもちゃんとナンバープレートも付いていて、山梨大学のS先生が大学から一般道を運転して科学館まで乗って来た。ということは愛宕山の坂道を登ることができたわけだ。そのときは面白いなあと思いつつも、実用化には遠いなと思ったものだ。一年半前には、職場で僕が担当して実施したサイエンスキャンプというイベントで、トヨタ製の電気自動車に乗る機会があった。
そして今日、実用化された電気自動車を運転した。トヨタ車のときは運転の機会が無かったのだが、このたび初めて運転してみてそのしっかりした性能に感心した。ガソリン車と同様にちゃんと加速する。坂道も運転させてもらったが少しも力不足は感じなかった。モーターを回すのに使われる電源バッテリーは、リチウムイオン電池になり、フル充電で350kmぐらい走ることが出来るそうだ。運転席の正面にあるメーターはスピードメーターではなくてモーターの状態を表現する。一番右まで回るとフルパワー、左はエコ、もっと左に振れると充電となる。
ガソリン車との違いを感じたのはエンジンブレーキ。僕の車はガソリン車でトルコンのオートマだが、Dに入れておくと下り坂でアクセルを離しても惰性で降りていく。2速やLowにしないとエンジンブレーキはほとんど感じない。でも、今日のMiEVではDの状態でアクセルを離すとエンジンブレーキがかかる。このとき、正面のパネルにあるメーターの針はぐっと左に振れている。つまりエンジンブレーキを利用して発電し、バッテリーに充電をしているわけだ。よくできている。
フル充電には専用コンセントに差し込んで7時間ほどかかるというが、このゆっくりした充電のおかげで電気代は極々少額で済むようだ。もしも日本中の自動車が電気自動車になったらどうなるだろう。今現在、ガソリン自動車のために物凄い量の石油を輸入して使っているわけだけど、それがみんな発電に回せる。もしかしたら原発を動かさなくても電気は間に合っちゃうかもしれないし、どっさり石油が余るかもしれない。産油国には悪いけど石油を買う量はきっと大きく減らせるのだろう。
さて、この電気自動車の普及にはどのくらいの時間がかかるだろうか。レコードにCDが取って代わったよりも早いだろうか。フィルムカメラからデジタルカメラへの置き換わりよりも早く実現できるだろうか。これらの変化によって、街から写真屋さんの多くが姿を消した。レコードがCDに替わったのも束の間、音楽配給がダウンロードになっていく中でレコード屋さんが無くなった。ガソリンスタンドの厳しい時代がすぐそこに迫っているかもしれない。石油元売会社や燃料問屋さんは更に大変かもしれない。新技術の普及は、いつの時代も光と影を作るものだ。