凝ったポスター

新宿の地下道にあった映画のポスター。一見、同じポスターに見えるがよく見ると違う。実際には上のポスターが左、下のポスターが右で二枚並べて貼られていた。探査機「はやぶさ」に注目して見ると、上のポスターのはやぶさは赤と青に滲んでいる。これはアナグリフになっているのだ。他の部分はアナグリフになっておらず、はやぶさだけが加工されている。
下の写真の左下に小さな箱が写っているが、ここにアナグリフ用の赤青メガネが入れられていたようだ。でも、残念ながら僕が見たときにはメガネは一つも無くて、代わりにゴミが入っていた。所詮、日本人の道徳心もこの程度かと残念になる。凝って作られたポスターの存在にせっかく気付いたとしても、それを鑑賞することが出来ない。こういうものが好きな僕ですら普段からアナグリフメガネなんぞ持って歩かないから、普通の人が持っているはずも無い。あんなものを持って帰ったところで大して役に立つものでも無いのに、どうして持って帰ってしまうのだろう。
ところで僕は、はやぶさ関連の3作品、どれも見てない。もしもはやぶさが予定通りにフライトしていたら、ミクロの粉じゃなく砂や石のかけらを持ち帰っていたとしたら、3作品どころか1作品も映画なんか作られなかっただろう。適度な失敗と言うか、ラッキーなことに転んだ方向が人心を惹くのに効果的な側だった、つまり、擬人化した感動物語にぴったりハマるところに帰還したのだ。言いすぎだろうか。3作品ともレビューを見る限りでは「ご祝儀」的な内容のようだ。でも、擬人化した物語の面白さは別として、ミッションとして考えると必ずしも「大成功バンザイ」とはとても言えないし、増して英雄扱いできるものではない。製作3社とも「はやぶさブーム」の2匹目のドジョウを狙ったが故のご祝儀的内容なのかもしれないが、事象を冷静に見た視点の、場合によっては批判的な内容の作品であったら、僕は映画館に足を運んでいたかもしれない。