山梨交通電車線(ボロ電)

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山梨交通バスの時刻を知りたくて調べていたついでに山梨交通のことをWikipediaで見たら、山梨交通電車線のことが書かれていた。通称「ボロ電」と呼ばれ親しまれていたそうだが、僅か32年しか運行されなかった短命の鉄道路線だ。廃止されたのは僕が生まれるよりも前の昭和37年だから、もう60年を越えた。その車両が、長野の上田丸子電鉄、神奈川の江ノ島電鉄での運行を経て役割を終え、里帰りし静態保存されていると書かれていたので見に行くことにした。
展示場所は、富士川町(旧増穂町)の利根川公園。かつてあった長澤新町駅という終点から二つ前の駅からほど近い場所だ。車両の上には立派な屋根がかけられていて、よくある野ざらしのSLなどに比べて恵まれている。

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車両の色はオレンジ色と朱色の中間みたいな色だが、当時、経営状況悪化の中で都会的な印象に変えて盛り返したいということで国電の中央線車両の色を真似たそうだ。この車両は戦後になってから製造されたものだが、窓枠などは木製のように見える。塗装の割れが所々に見られるが、上田でも江ノ電でもそれぞれの色に塗り替えられたので、今の塗装は里帰りした昭和61年に行われたものと思われる。この塗装の下に各年代の色が眠っていることだろう。

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普通の現役運行中の電車ではなかなかじっくり見られない足回りもこんなに間近で見られる。コイルと板バネの2種類のサスペンションが併用されているんだなと思った。どっちも乗用車に比べると格段に大きいなあと感嘆。

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扉は片開きの一枚、座席はロングシート。ウグイス色の生地が貼られているが、たぶん山梨交通オリジナルでは無いのだろう。

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利根川公園は南アルプスの前山から東流する利根川沿いにあるが、今の利根川はこんな感じのチョロチョロ川だった。ボロ電が運行していた頃のこの川は天井川になっていたので、ボロ電はその下を隧道でくぐっていたそうだ。当時の経営は自然災害にも翻弄されたようだが、今ではこのように立派に河川改修されている。