グリーンカーテン

今年の春から夏にかけて流行ったのはグリーンカーテン。職場でもグリーンカーテンを作ることになり、新人職員のW君が中心になってがんばってくれて、ヘチマのグリーンカーテンを作った。そして今、ごらんのとおり実りの季節を迎えた。

去年の夏は暑い日が何日も何日も続いて、厳しい夏だった。今年は涼しい日が時折訪れたこともあり、去年ほどの辛さは無かったけれど、大変な夏だった。僕は個人的に、海洋道中とお葬式があって忙しかったけれど、それを言っているのではなくて今年の日本の夏は電気のことで大変だったということ。

3月11日の大地震と大津波による原子力発電所の事故。まだ寒い時期には計画停電なんていうのがあった。これの対策をどうしようかなんていう会議をしたし、停電実施か見送りかというニュースに一喜一憂した。暖かくなってからは電気の使用制限なんていうのが始まった。これのせいで6月は暑かった。ただでさえ暑い6月だったのに、節電実験のために職場の空調は点けたり消したりで、実験台になった側としては体調管理が大変だった。もちろん、実験する側も気苦労が多かったことと思う。その成果で、7月8月は快適な室温の中で運営ができたのだから、今となっては文句も言えない。

そんな今年の春夏にあらためて感じたのは、近頃の建物が電気の浪費を前提に設計されているということ。有名なアーキテクチャーの○○先生によるご設計、というのが売り文句の建物。奇抜な外観や奇妙なレイアウトが、最先端の意匠としてもてはやされていた。疑問を言えば、それは変人として扱われる。まるで裸の大様だ。
トップライトで自然光を取り入れる意匠に関心を集めても、今年の夏のように照明を節約すると昼なお暗い場所があちこちに現れる。自然に考えれば有るべき場所に窓が無いからだ。窓はあり過ぎても困る。壁の何メートルも高い位置までガラス窓があり、そのために太陽光が降り注いでいくら冷やしても涼しくならない場所がある。格好のためには燃料を垂れ流しにするほど使用する。まるで数十年前のアメ車みたいだ。そんな建物がそこらじゅうにあることに気づいた人は僕だけじゃないだろう。それでも工夫して節電した日本中のみなさんはやっぱり凄い。

この夏はグリーンカーテンだけでなく、よし簾、打ち水、風鈴、なんていうものも流行った。着ているだけで涼しい下着だとか、首に巻いていると涼しいタオルもあった。伝統とハイテクを組み合わせて工夫を重ねた今年の夏。こういう方が日本人ぽくていい。