ツバキ

半年ぐらい前に、伊豆大島で大きな災害があった。集中豪雨によって山が崩れ、山津波で街が押し流されてしまった。
伊豆大島というとツバキが名物だ。もう20年も前のことになるが、僕は会社の旅行で伊豆大島に行った。熱海から高速船に乗ってすぐ着いてしまった。八丈島に比べるとすごく近い。島を巡ると、ツバキの森が多かった。お土産屋さんにもホテルにも椿油が売られていた。名物というと、昔は多かったけれど今は無い、というものがよくあるが、大島のツバキは昔だけのものではないと感じた。去年のあの大災害ではツバキも大きな被害を受けたのかもしれない。
その旅行でのホテルの夕食もツバキだった。それは「椿油フォンデュ」というもので、面白い趣向だった。長い串に刺さったいろいろ(魚、肉、蝦、野菜など)が並んでいて、天ぷら粉を溶いたものも用意されている。そして、お膳の中央には椿油が入れられたフライヤーが置かれている。客は、好みの串を取り、それへ衣を付けてから、油の中にダイブさせるというもの。僕は、椿油というのは美容のためのものと思っていたので、食用での使い方は新鮮だったが、良い香りがして悪くなかった。