赤い羽根

娘たちが赤い羽根を持って帰ってきた。暑さが去ると赤い羽根の季節というところだ。僕が子供の頃の赤い羽根には真鍮製の針がついていて、それで服に刺していたわけだが、近頃は針がなくなってシールになっている。春には緑の羽根のキャンペーンもあるが、どちらも正直なところあまり関心を持ったことが無かった。どうやら赤い羽根は福祉のための募金で、緑の羽根は緑化のための募金らしい。白い羽根もあったが、あれには赤十字がついていたのを覚えている。
赤い羽根を並べて楽しんでいた次女に、妻と一緒に思い出話なんかも織り交ぜて話していたとき、「○○さんが配っていた」という話になったら、「えー、それじゃ○○さんのおうちに赤い鳥がいるんだ! いいなぁ」と次女がうらやましそうに言った。そんなふうに思っていたんだ、と娘の天然ボケぶりを面白がっていたのだが、娘のその言葉で僕は「カラーひよこ」を思い出した。
学校が終わって門を出るとおじさんがダンボールに入れたひよこを売っていた。黄色のひよこの他に、赤いひよこと緑のひよこがいた。しばらくひよこを見てから、近所の子は家にお小遣いを取りに帰った。僕は小学校と家が遠かったので買うことは無かったが、当時の僕はあの赤と緑はわざわざ染めたものだとは知らなかった。あのカラーひよこが育って赤い鶏と緑の鶏になって、赤い羽根と緑の羽根の募金のために配られているわけではないのだが、この羽根がどのように採取されてどのように染められているのか、知りたくなった。