早朝の仏舎利塔

ある訃報
STAP細胞のニュースで世界中が驚いた日、新聞もテレビもそれ一色に染まっていた。僕もそのニュースが仕事に関連していたこともあって、せっせと新聞各紙の記事を集めていた。そのとき、あるプロ野球選手の訃報が目に入った。
昭和34年に実現されたプロ野球史上唯一の天覧試合。この歴史的なステージでホームランを打った人と言えば、ミスタージャイアンツ長嶋茂雄というのが通り相場だ。だが、その直後に五番打者として長嶋選手に続いての連続ホームランを打った人がいた。その人が、訃報のあった坂崎一彦選手だ。小学生の頃の僕は野球少年で、プロ野球高校野球もテレビ放送があれば見入り、野球本も何冊も買ってもらい背表紙が千切れるほど読み込んだものだが、坂崎選手の名前は記憶の中に残っていなかった。この試合では王選手もホームランを打ち、初のONアベックホームラン。阪神の選手にもホームランがあり、ホームランの多い試合でもあったようだ。
しかし、長嶋選手がこの試合で打ったホームランはもう1本あり、それが勝利を決めたサヨナラホームランだった。天覧試合のヒーローはこの2本目が決め手となって伝説化した。歴史的大試合にホームランを打つほどの強打者でもあった坂崎選手だが、それを知っている人は、熱烈なプロ野球ファンを除いて少ないかもしれない。