有刺鉄線

有刺鉄線のことは薔薇線とも言っていた。子供の頃にはあちこちでよく見たが、近頃は見る機会が少ない気がする。世の中に本当に少なくなったからなのか、自分がそういう物のある場所に行かないようになったからなのか、それはわからない。印象としては前者なのではないかと思う。
人についてもそんな印象がある。自分を有刺鉄線で武装して生きているような人は、僕の周りでは昔に比べて少ない。だから、有刺鉄線を巻いた体で武器をグルグル振り回しながら闊歩しているような人がたまに居ると、奇異であり滑稽でもある。しかし、それが自分や自分の周囲に向かってくるとなれば恐怖でもある。やっかいだ。