アジサイ

職場の近くにある元宝石学校の敷地が、この連休中の職員駐車場になった。そして連休が終わると取り壊し工事が始まるのだという。

建物の影になっている所に、アジサイの植え込みがあった。すでに今年の新しい葉をたくさん広げていた。花は去年咲いたものが干からびて残っていた。この去年の花の残骸が、このアジサイたちがつけた最後の花になってしまったのだろう。新しい黄緑の葉が集める養分は今年の花を咲かせること無く無駄になる。
ツツジは間に合った。取り壊しの寸前に満開を迎えることができた。
自転車置き場では、すでに使われなくなった数年前から雑草が頑張ってアスファルトを割って伸びていた形跡があり、その枯れ草の周囲に枯葉が集まっていた。校舎の中には、貼られたままになっている掲示物があり、誰に見られることも無かろうに、作品の写真を誇っていた。
聞くところによれば、今後何かに利用するようなことではなく、森に返すという計画なのだということだ。「再利用」「有効利用」等という言葉が当たり前の正しさのように使われる今日だが、廃屋を撤去して自然の成り行きに任せるというのは、ずいぶん珍しいことなのではないだろうか。