オカトラノオ

話の文脈の中で「虎の穴」という単語を使ったのだが、僕の職場の担当内ではピンと来なかったようで、寂しい気分だった。担当内では群を抜いて一番の年上だから、自分の子供の頃の話題がそのまま通じるものではない。
ことわざで「虎の尾を踏む」とは、危険なことをするということの例えだ。今月の終わり頃から「ゴジラ」の映画が封切られる。いろいろと宣伝活動がされているが、今夜はNHKBSプレミアムで、歴代の監督やライターにゴジラ論を聞いていた。たまたま何を見ようかとテレビのリモコンボタンを押していたら映ってきたもので、ゴジラの姿に指が止まってしまったのだった。いろいろな言い回しをしながら「神」とする人が多かった。「そこにある絶対的な力」と言った人もいた。面白いな、と思いながら見ていたが、僕には僕なりのゴジラ観があるわけで、そういう話を誰かとしてみたくもなった。昭和29年の第1作以来、人類は何度も何度も虎の尾を踏む行為を繰り返して、ゴジラの眠りを邪魔してきた。今度のはどんな踏み方なのか楽しみだ。