行く道を塞ぐもの

台風の影響か、木枯らしの影響か、木が将棋倒しになって根が捲れ上がっている場所があった。倒れた幹が道を塞いでいる。険しい場所でもないので、ちょいと道を横にそれれば難なくかわすことができた。
これは数日前に撮った写真だが、今日もこの道を歩いてきた。僕は歩いている間に何度も写真を撮るのだが、それのためもあって僕の歩みは遅い。このコースでは峠を越えて少し行くと途中で舗装路を歩くところがある。そこまで来た時に、ふっと落ち着いて何気なく首にぶら下げているカメラに触った。すると、指が直接レンズに触れた。僕の心にたちまち後悔の気持ちが襲った。これは、どこかでレンズキャップを落としてきたということだ。何故きちんと確認しなかったのだろう。結局、仕方なく最後に撮影した地点まで道を戻ることにした。こういう時の登りは妙にきつく感じる。足元から1メートルほど前に視線をやり、それを左右に振りながらゆっくりと歩いた。丁寧に見たつもりだが見つからないまま最後の撮影地点に着いてしまった。でもキャップは無い。ここでさっき撮影した時には、キャップをきちんとつけたことを確認した覚えがある。だから、これよりも上であるはずがないので再び道を下りながら捜し歩いた。下りる途中で水を飲みたくて水筒を出した場所があった。水を飲みながら眺めた景色の記憶を頼りにその場所を探った。つい今、一度は探しながら歩いた道だから望みは薄いのだが、水を飲んだあたりの場所を念入りに探し回った。すると、枯草の間に刺さった感じになっていたレンズキャップを見つけた。良く見つけたものだと我ながら感心した。水筒の出し入れの際に、レンズ付近に何らかの力が加わってキャップが外れてしまったのだろう。このキャップを落としたのはこれで4回目、そして全て引き返して発見することができたのだ。