フタリシズカ

2年前に撮った写真。その頃は清里に勤務していた。めまぐるしく変化する季節をたっぷり感じながら仕事していた。それまでは植物の名前を全く知らなかったのに、少し覚えることが出来た。正確に言うと、図鑑で名前は知っていたけれど実物と照合したことが無かったので、初めてそれが叶った頃だった。(叶ったと書くとそれまで願っていたような感じだが、正確に言うとそれも違う。植物には特に興味を持っていなかった)
写真は「二人静か」という草。沢の傍や湿地近くの日陰によく見られたのを覚えている。真ん中に花穂が2本あるのが普通だという。さしずめ「沢沿いの木陰で恋人二人寄り添っている」というような印象をもって付けられた名前だろう。
でも、僕がフタリシズカを見た場所はどこでも群落になって葉を重ね合わせて繁っていた。だから「恋人二人が人ごみを避けて沢のほとりで静かに語り合い」なんていう雰囲気でもない。多くのカップルが肩をぶつけ合うほど狭いところに集まったような印象だった。遊園地の人気アトラクションの行列とか、人気映画の初日とか、そんな感じだろうか。
そして、写真を良く見ていただくと花穂が3本ある。これでは3人になってしまう。少々複雑な関係のようだ。彼らは3人でカップルが行く場所に出かけてしまったのか。