サクラ散る

咲き始めは白、日が経つに連れ花びらの根元がピンク色に染まり、雪のように散る。花びらが去った後の花は濃いピンク色。もう短い桜の花の時期が過ぎる。
桜が散ってしまうとなんだか見慣れた風景のようになってしまうので、景色だけでなく精神的にも、気持ちが夢から現実に戻されるというのか、曇ったフィルターが外れて見やすくなるというのか、そんな感触がある。我に返ってみると、案外現実社会というのはどぎつい色をしている。はらはらと散り落ちる花びらなんかを眺めている隙に、ドンとボディーブローを不意打ちされるようなところがある。