ランチ、妄想の風景

ランチをビッグボーイで食べた。前に住んでいた家のそばにもビッグボーイがあったが、特によく行っていたわけでもなかった。家族でどこかに食べに行こうとなると、お寿司、カレー、うどん、スパベティ、というような物ばかりになって、肉が出てこないのが我が家の特徴だった。それでも暑い夏に滋養をつけようかということで、ハンバーグを食べるために出かけた。
そんなわけで、ビッグボーイに入ったのは1年以上振りになる。僕が注文したセットには、スープバー、ライスバー、カレーバー、サラダバーの4種類が付いていた。更にドリンクバーも別に注文したから、全部で5つのバーになった。ある意味フルコースだ。
ところで、なんとかバーは何かのメニューについでに付いて来る物しか無いのかな、と思ってメニューをざっとめくってみたのが、なんとかバーの単独価格は見つからなかった。なんとかバーだけでも注文できたとするとどうだろう。例えば、
店員「いらっしゃいませ、ご注文をお伺いします」
客「えーと、サラダバーにカレーバーをつけてください」
店員「なんとかバーになんとかバーをつけることは出来ないので、単独価格のご注文になりますがよろしいでしょうか」
客「それじゃ、サラダバーとカレーバーをください」
店員「カレーバーにはライスが付いていませんがよろしいですか」
客「あ、ライスもいります」
店員「ライスの場合はライスバーをご注文いただくことになりますがよろしいですか」
客「はい、そうしてください」
店員「では、ご注文を確認します。サラダバーとカレーバーとライスバーですね」
客「あ、ちょっと待って。えーと、スープバーとドリンクバーもください」
店員「はい、ではもう一度確認します。サラダバーとカレーバーとライスバーとスープバーとドリンクバーですね」
客「はい」
店員「あちらにサラダバーとカレーバーとライスバーとスープバーとドリンクバーがございます。ご自由にお取り下さい」
客 その方向を見る。その瞬間、
店員「ご注文の品は全てお揃いですか」
客「えっ、あ、はい」、店員「では、ごゆっくりどうぞ」
僕はこの暑さにやられたのか、僕らの席のすぐそばにあったなんとかバーにやってくる人たちを見ながら、こんなつまらん事を考えてしまった。ま、それはそれとしてたっぷりと美味しく食べたランチだった。