空を飛ぶもの

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これはいつだったか撮影した飛行機の写真。夕方の空を飛び、飛行機雲が夕陽を浴びて橙色に染まっている。
今日は、福島県宮城県の上空に白い球体状の未確認飛行物体が飛んでいたというニュースがあった。これぞまさにUFOだ!写真もたくさんあるし大勢の人が目撃しているからフェイクではないだろう。
実は、僕も未確認飛行物体を見たことがある。今から37年か38年も前のこと。福島県の浄土平で行われる星まつりに大学の同じ天文サークルの先輩方と一緒に出かけた。前日入りした夜のこと、僕らは会場に着いて車から荷物を降ろして望遠鏡を組み立て始めた。周囲にも僕らと同様に早めに会場に入った人たちがパラパラと居た。そして先輩の一人が空の異変に気が付いて声をかけた。空に見慣れないものが飛んでいた。うっすらと発光しているように見えるその物体は遥か宇宙にあるものでは無く十分に近い対流圏を飛んでいるように見えた。僕ら以外の人も気づいたようだ。物体は特に曲がることも無くゆっくりと一直線に進んでいるように見えた。やがて誰かが双眼鏡で覗いた。僕もそれを借りて観察することが出来た。なんだか提灯のような、そんな印象だったが光は反射光だったかもしれない。やがてその空飛ぶ提灯は山の向こうに隠れてしまった。天文好きの人は一般の人よりもずっと空を見ている時間が長いわけだが、所謂宇宙人が乗っているかのような空飛ぶ円盤を見たと言う天文好きには会ったことがない。ほとんどの人はその存在には否定的だ。だから、そういう人たちが揃って空飛ぶ提灯を見てしまったわけで、実に複雑な気分だった。その後はイベントの楽しさもあって、それを話題にすることも無かった。でも、僕にとっては何年もの間それは喉に引っかかった魚の小骨のようなものだった。目撃から20年近く経った頃、その小骨が取れてすっきりしたことがあった。東北地方のあるアマチュア天文家に教えてもらったことだった。その人も観測中に未確認飛行物体を目撃し、各国の人工衛星スペースデブリの軌道を片っ端から調べ、どれにも該当しないということになり、更に調べて解答にたどり着いたという。朝鮮半島2国がそれぞれ国境の向こうへ向けて宣伝のために飛ばす風船があって、それが風向きの具合で東北地方上空を通過あるいは墜落することがあるのだそうだ。僕らが浄土平で見たものもきっとそのようなものだったのだろう。
今日、朝鮮半島では南から北へ飛ばした風船ビラが原因で建物の爆破などの大きな政治問題に発展しているというニュースもあった。このニュースと今日のUFO騒ぎで、40年近く前の僕の経験を思い出した。