ゲートから昇る星座

8月の借金を9月に払うことになったから9月も忙しくなった。借金と言っても本当のお金ではない。8月は海洋道中とお葬式で、出かけてばかりになった。そのため、公私共に9月はやることが多くなった。しかもミニ南極展も抱えていた。やるべきことが多いときと言うのは、時間があったとしても気持ちだけが急いてしまってその時間を上手く使えなかったりする。そういうところを合理的に進めていける人と、そうではない人とでは、やがて大きな差になって現れる。ここ数年の僕は後者になってきてしまった気がする。

そんなわけで、今月いっぱいまでの宿題を今やっている。宿題というのは海洋道中の写真と感想文。これを今月中にしげサンに提出しなければならない。感想文はなんとかなるとして時間がかかるのが写真だ。普通は逆に感じるかもしれないが、それには少々訳がある。感想文はどっちかというと得意な分野なのでなんとかなるのだが、写真はこっちからあっちへコピーというわけにいかない。というのも天体写真を画像処理しなければならないからだ。
もちろん星の写真は撮ったし、提出もするつもりだったけれど、「天体写真も楽しみにしてます!」なんて言われてしまったからにはきちんとしたものにしなければならない。でも、赤道儀は持っていかなかったし、レンズは1本だけだったしで、あらためて見直すとパッとしたものがない。やはり、何かの旅行のついでで撮っても上手くいかないものだ。「天体写真撮るぞー」と気合入れて出かけたときでも、後日写真を見直すと「何やってたんだ、ったく」という写真がよくあるぐらいだから、なおさらだ。
星の写真を開いたら、もうそろそろふた月も前になる八丈島でのことを思い出した。
今回の八丈島では、赤道儀が無いので露出を30秒に抑えていたのだが、それでも星は少し線になって写っている。これは直しようもない。各写真からダークフレームを引き、同じ構図で何枚か撮影しているカットを丁寧に加算処理する。まあなんとか見られるものになっただろうか。せっかくなので星座の線と星座の名前も書き込んだファイルも作っておいた。

8月5日、サバイバル踏破の補給を終え、それから撮影した写真。23時過ぎ、ゲートの上に昇ったカシオペヤ座を撮影した。赤道儀のセッティングが無いから撮影はすぐ終わる。数枚撮影したところで、サムさんとタイソンさんといっしょに車に乗って各班の様子を見に出かけた。5班がいる横間ヶ浦でも数枚撮影の時間を頂いた。赤道儀だったら、組み立ててセッティングして撮影するのに30分ぐらいは必要だから、とても待ってもらうお願いはできなかったと思う。タイソンさんを横間ヶ浦で降ろし再びベースキャンプに戻ったのが、日付が変わって8月6日の1時前頃だった。月も沈み、星が良く見える夜だったので更に撮影した。夏の大三角は天頂に拡がり、出かける前にゲートの上にあったカシオペヤ座はすでに高くなって、代わってその場所にはペルセウス座が昇っていた。すばるも見えていた。