垂戸湾の波

フィリピン東方沖で8月31日深夜に発生したM7.6の地震によって、八丈島に50cmの津波が押し寄せたということだ。8月1日〜9日まで僕が行っていた場所だけに、ニュースが気になった。ただ、八丈島の場合は海岸のほとんどが崖で、低い土地でも海水面から10mぐらい高くなっているので、50cmの津波ならば被害はなかったことだろう。
50cmと言ってもYouTubeにあったこの津波の映像を見ると、思いの外迫力があって恐ろしいものだ。これが何m、何十mという高さだったらと思うと、空恐ろしい。僕がいた頃に、もしも10mの津波が襲ったとしたら、僕が過ごしたキャンプは流されていた。港の周辺も10mならば少なからず被害を受けることだろう。
八丈島には津波に関わる伝説がある。「その昔、八丈島を襲った津波が島の家々を押し流してしまったとき、丹娜(タナ)という妊婦がたった一人だけ生き残り、今の八丈島の人々の先祖になった」というもの。伝説を丸ごと信用するのは危ういことだが、何かしらの教訓を含んでいることもあるのかもしれない。以前、何度か仕事で行った沖縄にも津波に関する伝説があった。山梨県に住んでいると津波は自分に関係ないものと思ってしまいがちだが、海に囲まれている島々には津波の伝説がある。きっと、いつしか平穏な海に慣れてしまって備えを怠ることのないように、突如として牙を剥く海の教訓を伝説に変えて子孫へ伝えているのだろう。